ネアンデルタール人


■ネアンデルタール人

ネアンデルタール人は、ヒト属の一種で、現生人類であるホモ・サピエンスの最も近い近縁種とされています。発見された化石によれば、35万年前までに早期ネアンデルタール人がヨーロッパに現れ、18万年前までに典型的な後期ネアンデルタール人が現れます。約2万4000年前に絶滅したとされています。

図は、ヘルマン・シャフハウゼンが1888年に発表したネアンデルタール人の最初の復元図です(Wikipediaより)。


■系統

1970年代から80年代にかけて分子生物学が長足の進歩を遂げ、分子系統学によって人類の系統が探索されるようになりました。この方法により、現生人類はアフリカに起源を持ってそこから世界に拡散したものであり、ネアンデルタール人は55万年から69万年前にホモ・サピエンスの祖先から分岐した別種で、現生人類との系統的なつながりは無いという結果がもたらされました。


■分布

1856年にデュッセルドルフ郊外のネアンデル谷にあるフェルトホッファー洞窟から出土した人骨化石が、ネアンデルタール人の事実上の第一発見となりました。その後も同じような特徴のある人骨化石が各地で発見されました。ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布していました。


■身体的特徴

ネアンデルタール人は、骨格が非常に頑丈で骨格筋も発達していますが、遠目には現生人類とあまり変わらない外見だったと考えられています。上顔部は現生人類のコーカソイドと同じか、さらに立体的で、彫の深い顔つきをしています。子供に関しては、思春期に達して第二次性徴が現われるまではネアンデルタール人としての特徴はそれほど発現せず、特に女性の場合には形質の特殊化が弱いと考えると、現生人類の特にコーカソイドに似ていた可能性があります。

図は、1908年にフランスのシャペローサンで発見された頭蓋骨です(Wikipediaより)。


■生活

ネアンデルタール人が洞窟を住居としていたと考えられることが多いのは、発掘が主に洞窟を中心に行われており、復元図がそれに準じているからです。洞窟からはネアンデルタール人の人骨だけでなく、哺乳類の骨が多く見つかっています。遺跡で見つかる骨が四肢に偏っているのは、狩猟の現場で解体し、大腿部などを選択的に持ち帰ったからと考えられます。

図は、アメリカ自然史博物館の『ネアンデルタール人の狩人』です(Wikipediaより)。


■石器の製作

ネアンデルタール人は、ルヴァロワ式と呼ばれる剥片をとる技術を主に利用して石器を製作していました。石器の用途は限られていて、狩猟用と動物解体用に分類できます。左右対称に加工されたハンドアックス(握斧)や、木の棒の先にアスファルトで接着させ穂先とし、狩りに使用したと考えられている石器などが発見されています。

図は、メットマン・ネアンデルタール博物館の『ネアンデルタール人の道具製作者』です(Wikipediaより)。


■葬儀

ネアンデルタール人は、遺体を屈葬の形で埋葬していました。イラク北部のシャニダール洞窟では、ネアンデルタール人の化石とともに数種類の花粉が発見されました。ここから、ネアンデルタール人には死者を悼む心があり、副葬品として花を添える習慣があったという説が出されました。

図は、ハノーバー動物園の『ネアンデルタール人の葬儀』です(Wikipediaより)。


■混血はあったか?

従来、ネアンデルタール人は約3万年前に滅亡したと考えられていましたが、2005年にジブラルタルで2万4000~8000年前まで下るネアンデルタール人の遺跡が発見され、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人が長い間共存していた可能性が示されました。

ネアンデルタール人の化石から抽出したミトコンドリアDNAの解析からは、ホモ・サピエンスとの混血化には否定的な結果が得られています。これに対して、ワシントン大学のアラン・テンプルトンらは、従来のミトコンドリア遺伝子などの単一の部分だけでなく、10カ所の遺伝子を調査し、混血しているとの結果を導き出しています。

図は、チューリッヒ大学人類学研究所のクリストフ・ツォリコッファーらによるネアンデルタール人の子供の復元図です(Wikipediaより)。黒人の突然変異によって白人が生まれたとするより、黒人とネアンデルタール人の混血によっては白人が生まれたとするほうが妥当ではないかと思われてきます。


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