天使と悪魔


■天使と悪魔

神は自分自身を崇めさせるため天使を創造しました。神はまた、人間を天使の姿を模して創造しました。天使たちには自発的に神を崇めるという試みが課されました。神は人間に天使以上の愛情を注ぎました。それに反発したのは、神から最も信頼を得ていた大天使ルシファーでした。同志である他の天使と共に神に挑みましたが、神に従う天使たちに敗北し、堕天されてしまいます。地上へ堕ちたルシファーたちは悪魔として人間に挑むようになりました。

図は、アルブレヒト・デューラー作『堕天』です(Wikipediaより)。


■天使の位階

神秘思想家偽ディオニシウス・アレオパギタは著作『天上位階論』の中で天使の位階を記述しています。天使の位階には、父と子と聖霊に対応した三つの階級があり、ひとつの階級に三つの段階があります。つまり天使の世界には合計九つの位階が存在します。


■守護天使(ガーディアン・エンジェル)

守護天使は一人一人についていて、守り導く天使です。キリスト教世界において守護天使の概念を大きく発展させたのは偽ディオニシウス・アレオパギタです。東方教会および西方教会の正統信仰では、天使たちはそれぞれ神によって指定された人間を守ります。トマス・アクィナスは、守護天使として仕えるのは最下位の天使たちだとしています。これに対しドゥンス・スコトゥスは、どの天使もこの役目を引き受けるだろうとしています。

図は、マットホイス・ケルン作『守護天使』です(Wikipediaより)。


■大天使(アークエンジェル)

カトリック教会では聖書に名前の現れるミカエル、ラファエル、ガブリエルの三人を大天使としています。偽ディオニシウス・アレオパギタのリストでは、下から二番目に大天使(アルヒアンゲロイ)がありますが、この三人の天使は最上位の熾天使(セラフィム)であると解釈されることもあるようです。

図は、フランチェスコ・ボッティチーニ作『トビアスと三人の大天使』です(Wikipediaより)。


■ミカエル

旧約聖書『ダニエル書』10章では、ペルシャ王キュロスの第三年にダニエルが見た幻の中にミカエルがイスラエルの守り手として現れます。新約聖書『ユダの手紙』には、ミカエルがモーセの死体について悪魔と論じ争ったことが述べられています。また、『ヨハネの黙示録』12章では、ミカエルと天使たちが悪魔である巨大な竜と戦い、竜は地に投げ落とされます。ミカエルは守護者というイメージが強く、中世には兵士の守り手、キリスト教軍の保護者でした。

図は、クレムリン大天使カテドラルのイコン『大天使ミカエル』です(Wikipediaより)。


■ラファエル

旧約聖書『トビト書』では、ラファエルは人間の姿で現れ、アナニアスの子アザレアと名乗って、トビトの息子トビアスの旅に同伴します。ラファエルは道中トビアスを守り、目が見えなかった父トビトを癒した後で、自分がラファエルであることを告げます。ラファエルという名前はヘブライ語で神は癒されるという意味であり、ユダヤ教の伝統で癒しをつかさどる天使とされてきました。

図は、17世紀に描かれた『大天使ラファエルとトビアス』(作者不詳)です(Wikipediaより)。


■ガブリエル

旧約聖書『ダニエル書』8~9章では、バビロン王ベルシャザルの第三年にダニエルが見た幻の意味を解き明かすためにガブリエルが現れます。ガブリエルは、ペルシャ王キュロスの出現とユダヤ人の解放、エルサレム神殿の再建について語ります。ガブリエルはキリスト教の伝統の中ではしばしば神のメッセンジャーという役割を担います。新約聖書『ルカによる福音書』では、祭司ザカリアスのもとに現れて洗礼者ヨハネの誕生を告げ、聖母マリアのもとに現れてイエス・キリストの誕生を告げます。

図は、フラ・アンジェリコ作『受胎告知』です(Wikipediaより)。


■ルシファー

ルシファーは全天使の長でしたが、土から作られたアダムとイブに仕えろという命令に反発して神と対立し、天を追放されて神の敵対者となりました。『ヨハネの黙示録』12章7節はしばしばその追放劇と同定されます。イヴと浮気をしていたという説があります。また、ミカエルとは双子の兄弟であったという説もあり、ルシファーが兄にあたります。ルシファーの名前は、旧約聖書『イザヤ書』14章12節の天から落ちた「明けの明星」のラテン語訳に由来するとのことです。

図は、ギュスターヴ・ドレによるミルトン『失楽園』のための挿絵です(Wikipediaより)。


■エデンの園の天使と悪魔

旧約聖書『創世記』3章では、蛇がイヴに近づき、「善悪の知識の木」の実を食べるようにそそのかします。イヴはその実を取って食べ、アダムにも与えました。神はアダムとイヴが「命の木」の実をも食べることをおそれ、二人をエデンの園から追放し、園の東にケルビムと輝く炎の剣を置いて「命の木」を守らせます。ミルトンの『失楽園』では、蛇はルシファー、ケルビムはミカエルとされます。反逆して敗れた堕天使ルシファーは、人間に対する嫉妬から、謀略により人間の楽園追放を実現させます。

図は、15世紀フランスの時祷書の挿絵『イヴの魂を救おうとするミカエル』です(Wikipediaより)。


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